2016年4月25日月曜日

冠着山 坊抱岩






春は花、夏ほととぎす、秋は月、冬雪さえてすずしかりけり。と詠んだのは道元禅師で、直感的ながら実に滋味に富み、お気に入りの句である。滅多矢鱈とルートガイドに掲載されるようなルートを登ったり、未踏の場所で極端にリスクの高い山登りだけをやっていては、四季折々自然の恵を知らない野暮天と化すのは必定。峻峭と甘美、どちらも知ってこそ粋といえよう。

坊抱岩がある千曲市はあんずの栽培が盛んで、春には桃色の花を一斉に開花させる。その眺望は一目十万本といわれるほどで、筆舌に尽くしがたい。クライミングがどうのというより、この景色を楽しみに行く。岩登りを口実に山里の美しい春を感じに行ってはいかがだろうか。冠着山はお月見の名所としても古くから親しまれている。春宵、月明かりのナイトハイクも歴史情趣があってよい。



<アプローチ>
最短では国道8号線から148号線で白馬を経由し山越えで長野市に入る。上越まで行って国道18号線を利用すると遠いが片側二車線で快適。美しい海岸線のドライブも情緒があってよい。坊城平キャンプ場を利用すると静かでいい。

<快適登攀可能季節>
ぼこだき岩本体は日当たりがよくて暑いことが多い。岩はちょっと脆い所もあり注意したほうがよさそう。山頂へは岩場経由でも行けるが、手前トラバース道を使ったほうが解りやすい。

<博物館など>
あんずの里:地区で最も広いあんず畑。普通の時間に訪れると人が多すぎるし、駐車料金も取られる。早朝に行けば無料で桃色の海を独り占めできる。

長野県立歴史館:各時代を再現した大掛かりな展示が見所。信濃の国で発達した物流方法、中馬が興味深い。

つつじ山公園:国道18号沿線豊野にあるつつじ公園。新緑とのコントラストが鮮やか。あんずの花が終わると、次はこちらのつつじが楽しみになる。

長野県は美術館、博物館、科学館などの数が全国で東京に次いで第2位。雨が降っても退屈しない。雨降らないかな、とさえ思う。

<温泉>
万葉超音波温泉:戸倉上山田温泉街にある温泉銭湯。リーズナブルな価格と謎のネーミングがいかす。

2016年4月20日水曜日

芦廼瀬川








大峰の有名渓。スケールの大きな本流遡行が日帰りで楽しめる。沢登りとしては大味な感は否めないが、泳ぎ、登攀いずれの要素もあるので沢経験の浅い人が場数を踏むのに良い。お泊りで、釣り、昆虫採集、天体観測して、のんびりするのも楽しそう。

<アプローチ>
下山は国道425号を利用する。車が2台あれば良いが無い場合はかなり長い距離を歩くことになる。折りたたみ自転車があれば良い。富山からは大阪周り、名古屋周りどちらも遠い。大阪から国道309号で行った。紀伊自動車道が出来て名古屋周りのほうが早いかもしれない。富山からおよそ6時間位だったかしら。

<装備>
カム少々、パッシブ少々

<快適登攀可能季節>
5月~10月。暑い時期に泳いだ。新緑の時期もよさそう。

<温泉>
道の駅おくとろ:綺麗な内風呂、眺めの良い露天風呂。食堂では1080円という安値でビュッフェスタイルの食事が可能。種類、質ともに高いので食欲旺盛な沢ヤに最高。また食べに行きたい。

2016年4月18日月曜日

小橡川 クラガリ又谷






クラガリ又ほど、アプローチが近いゴルジュを他に知らない。林道の開通状況によってはアプローチは車から5分程度である。しかしながら内容は濃いのでゴルジュ突破入門によいかもしれない。遊歩道から取り付くといきなりゴルジュで泳ぐ。F2からロープを結ぶ。F3は10m以上有るが適度な難易度で楽しめる。ゴルジュを抜けると美しい大滝、スラブ滝が現れる。堰堤が現れたら遡行を終了して同ルート下降を楽しむとよい。

<アプローチ>
富山からは大阪周り、名古屋周りどちらも遠い。大阪から国道309号で行った。紀伊自動車道が出来て名古屋周りのほうが早いかもしれない。富山からおよそ6時間位だったかしら。小ぶりでゴルジュゲレンデとしての利用が最適。長期の休暇、長物を登って余った時間に、転進先にと利用価値は高い。

<装備>
カム、ナッツ、ピトン、あぶみ、クライミングシューズ(使わないかもしれない)、たわし

<快適登攀可能季節>
6月~10月。5月くらいから登れそうだがどうだろう。

2016年4月10日日曜日

瓢ヶ岳






仏師界のニコラ・ジャジェールこと円空上人は瓢ヶ岳の麓、美並村で生を受けた。木食戒誓願達成のため各地を遊行し、その逗留した土地の信仰に合致した仏像や神像を残した。64歳で入定し即身仏となったという。作風は作成時期によって異なるが、概ね簡素化された造形と、木目の暖かさが特徴でほっこりするものが多い。その理不尽なまでの荒行、愚直な生き様に憧れを抱く人は多いはずだ。私もその一人である。

瓢ヶ岳、高賀山、今淵ヶ岳は高賀三山信仰の場である。かつて修験者が修行に励んだ場所だ。溶結凝灰岩の岩屋に身を横たえ、修行に勤しんだのだろうか。今や瓢ヶ岳はハイカー、ボルダラーに人気の山となっている。山頂は開けていて展望が良い。道もよく整備されていて心地よくクライミングのレストがてらハイキングにおすすめ。

<アプローチ>
下道で高山からせせらぎ街道(県道73号)経由で郡上まで。さらに国道156号を経由して片知渓谷に入る。富山からおよそ4時間。

<装備>
クライミングシューズが有ればボルダリングを楽しめる。どちらかというと、ボルダリングのついでに山頂に行く感覚。課題はどれも面白い。さすが日本屈指のボルダリングエリア。

<快適登攀可能季節>
3月~11月。あまり概念が無いので何とも言えないけど。紅葉の時期は素晴らしかった。

<博物館など>
美並円空ふるさと館:作品を年代別に並べてあり、作品の変遷を辿ることが出来る。併設されている美並生活資料館も充実している。

円空研究センター:作品の展示は無いが、円空の足跡や信仰についてのパネル展示が纏まっており円空の人となり全体像を把握するにはよい展示。

千光寺:高山にある寺院。傑作、両面宿儺を所蔵。マイフェイバリット神像である。

関市円空館:同じ関市に洞戸円空記念館があるが別物。展示はこじんまりとしている。近くの弥勒寺に入定塚があるので円空フリークならば64歳円空の最期の場所は訪れるべき場所。

2016年4月6日水曜日

不帰Ⅰ峰尾根










名クラシックルート。高度感抜群の尾根にピリリとした雪壁、飽きないように岩場も配している。唐松岳までの稜線歩きも北アルプスらしくてよろしい。八方尾根の下山までをⅠ峰尾根として捉えて臨んで欲しい。日帰りで登ることも十分に可能だが、荷物を背負って登るとトレーニングに丁度良い尾根である。雪のコンディション次第で味わいは変わる。何度登っても面白そうだ。

<アプローチ>
八方尾根から下降しても結局登り返して取り付くことになる。2000円分をあっという間に下降する事になりアホらしい。雪崩のリスクが高いタイミングは別として、雪の締まった春ならば南股入から入山するとよい。実は唐松への縦走路が核心だったりする。ルートファインディングに気をつけて慎重に。八方まで富山大学から下道で3時間と少々。

<装備>
トライカム少々、ナッツ少々。

<快適登攀可能季節>
12月~4月。春ならば雪がグサグサになる前に登りきってしまうのが吉。

<温泉>
みみずくの湯:日本有数の強アルカリ泉です。周辺の温泉は有名。入って損は無し。

<グルメ>
グリンデルというレストランのベーコンステーキが秀逸。小洒落た雰囲気だが、汚い山ヤが居ても違和感無く食事が出来るのは白馬ならでは。帰りしなに寄った白馬駅近くのおおしもはカレーライスの量が凄かった!他の定食メニューも美味しいしお勧め。

<博物館>
富山への帰りしな、糸魚川有るフォッサマグナミュージアムは素晴らしい。ここでは石の鑑定も行っているので、山で見つけた気になる石を鑑定してもらおう!(一人10個までです)

2016年4月2日土曜日

大井川 倉沢
















大井川、天竜川ともに参勤交代通行時の難所とされていたようだ。その逸話を聞いた幼少の頃より憧憬を抱いていた。車で天竜川の橋を渡った際にその巨大さには度肝を抜いたものだ。

倉沢は南アルプスの突破系ゴルジュとして人気だ。下部は暗いゴルジュを突破し上部は明るい連瀑を快適に登っていく。遡行自体は一泊で可能だがアプローチに時間が掛かる。せっかくなので夏休みに周辺の沢と併せてゆったりと楽しみたい。お隣の所ノ沢もいずれ登ってみたい場所だ。

<アプローチ>
畑薙ダムに駐車して椹島まで長い林道を歩く。山小屋に泊まるとバスに乗ることができる。椹島から旧道を歩いて倉沢出会いに取り付く。ずんずん上ノ倉沢を遡行して突然水がなくなり遡行終了。周囲に注意して歩いていくと、赤テープが巻かれたトラバース登山道に合流する。登山道は延々トラバースして結構長い。大井川は南アルプスの中でも富山からは遠い場所だ。高速を利用して名古屋周りで6時間位かかったような。

<装備>
カム少々、ナッツ、ピトン各種、たわし、あぶみ(念のため)

<快適登攀可能季節>
7月~9月。そこそこ水が冷たいので、暑い時期がよさそう。虫は少ない。

<博物館など>
大井川鉄道:トーマス列車が走っている。初めて見たとき、驚愕した。いつまで持つか解らないローカル線だが周囲の風景にマッチし旅情を演出している。

茶畑:里山の山肌には茶の木と霜防止用のファンが、整然と、ある奇妙なリズムを持って並んでいる。その景色は濃尾平野、富山平野と広大で肥沃な平野にしか居したことない身には衝撃だった。稲作でもない、畑作でもない。茶なのである。