2015年10月30日金曜日

小矢部川 瀬戸の長瀞








富山県で泳ぎ系の沢はほぼ無い。「ほぼ」というのはこの小矢部川瀬戸の長瀞が短い区間ではあるが、泳ぎと飛込みによる突破を楽しめる所が有るからだ。とても短いので、朝思い立って昼から 入渓も可能なゲレンデだ。下流部と稜線は堆積岩であるがこのゴルジュ区間だけは酸性岩で恐らく流紋岩系。さらにこの区間は川に断層が平行して2本あるようなので隆起速度が速まりゴルジュになったのかもしれない。かもしれない。難易度はそれほどでもないので、初心者がゴルジュ造形を味わうにはもってこい。ゴルジュを抜けてからは藪っぽい平凡な感じになる。梅雨時や水量が多いときがお勧め。

<アプローチ>
五箇山方面は常に通行止めなので、福光から入る。高速利用ならば富山市内から非常に早い。下道を使っても国道359号線が早いのでまあ問題ない。刀利ダム沿いの道を進んで広場に駐車。

富山大学から高速利用で1時間と少々。下道で2時間

<装備>
ライフジャケットがあっても良い。登攀的な滝は無いのでフローティングロープだけで事足りる。

<快適登攀可能季節>
6月中旬~7月中旬、9月
水が少ないと面白くない。

<温泉>
福光温泉 寂れた感じがいい。
金沢方面は湯楽という温泉銭湯が有る。安くて良い温泉

<グルメ>
ささら屋のおかきはおいしい。少し値が張るがたまに食べたい。

<博物館>
福光美術館:福光は棟方志功が一時疎開してた。そのため作品がいくつかある。別館愛染苑も行こう。企画展も変り種が多く見逃せない。

南砺バットミュージアム:日本プロ野球の往年の名選手のバットが触れる。メジャーリーガーのバットもある。タイカッブとベーブルースが使用したバットを触って大興奮!親父さんも気さくで良い時間を過せる。



鉾ヶ岳 島道川 滝ノ内沢























フォッサマグナ内の地形は主に堆積岩か海底火山で構成されている。頸城の山々が放つ異様なオーラは海底火山の激しい活動と急激な隆起によってもたらされた。鉾ヶ岳は頸城のメインエリア海谷渓谷から少し離れた場所に位置する山だ。権現岳から鉾ヶ岳を経て黒尾の峰までで小さいながらも一つの山塊をつくり、その流水経路は均整が取れ美しい。
 滝ノ内沢は鉾ヶ岳の北面に位置する谷で堆積岩玄武岩~安山岩の硬い岩で構成されたゴルジュである。ゴルジュ内の柱状節理にただ呆然とする。水量は少なく滝はどれも突破可能だ。どの滝も歯応えがあり力量の有るパーティーならばピトンワークとフリークライミングを存分に楽しめる。
我々は上部で松尾ベンという奥の支流ゴルジュを遡行したが、そちらも十分面白かった。

<アプローチ>
島道鉱泉の奥にある林道に駐車。
朝方に富山から国道8号線を飛ばせば大体2時間30分で能生に着くと思う。時間を優先したい方は北陸道を利用すると良い。

<装備>
カム一式。ピトン各種、ナイフブレード多めに。一条の滝はボルトがないと登れないので、ボルトキットも準備する。クライミングシューズが無いと厳しい。

<快適登攀可能季節>
8月中旬~10月上旬。我々は8月に行ったがオロロはいなかった。年にもよるだろう。

<温泉>
島道鉱泉は良い雰囲気の風呂。柵口温泉は整備されており綺麗な温泉。


<博物館>
富山への帰りしな、糸魚川有るフォッサマグナミュージアムは素晴らしい。ここでは石の鑑定も行っているので、山で見つけた気になる石を鑑定してもらおう!(一人10個までです)
能生の弁天岩の近くには郷土資料館があった。



大猫山~猫又山










犬とい名前が付いている山頂よりも猫のほうが圧倒的に多い。土地の名前では犬も多いのに何故だろう。猫山界の最高峰は知る限り乗鞍の猫岳である。猫又山はその次位に高い山だろうか。縦走路で二つの猫が有る場所は珍しいと思う。福島県には猫魔ヶ岳という山があるのでそちらも行きたいところだ。
 さておき、この縦走路は私のお気に入りなのである。大猫平の湿原地帯と剱岳展望が素晴らしい。抜けるような高い秋空にこの山で過す贅沢な時間は格別だ。静かなビバークサイトでは猫ジャイブ、猫クイック、猫ツイスト、猫ブギウギ、猫音頭と猫ダンス三昧を楽しめるだろう。猫又山から黒部の方に下降し、清水岳へ登りもうひとつの猫又山を登れば、富山の猫は一気に押さえることが出来る。そこから栂海新道の犬ヶ岳行くのも良い。

<アプローチ>
馬場島に駐車しブナクラ方面へ歩き、右岸に渡ってから登山道があった。出だしは急な斜面だが我慢。大猫平からは快適な登山道となる。猫又山山頂付近はトラバースするので道が分かりにくくなるので注意。ブナクラ谷もしっかりした登山道がある。

富山大学から馬場島まで1時間

<装備>
大猫山山頂付近で泊まるのがお勧め。猫又山山頂直下でも幕営可能。よりのんびりしたいのであれば、大猫平もいい。水場は無いので担ぐ必要が有る。テント。


<快適登攀可能季節>
5月~6月、9月~10月(ハイキングの場合)

<温泉>
アルプスの湯、ゆのみこ温泉

<博物館など>
西田美術館:ロシアイコンや曼荼羅があった。そして剱岳の資料が豊富。魚津岳友会の会報が熱い。

大岩山:行基が掘ったといわれる石仏がある。本当かしら。

富山県薬用植物指導センター:5月中旬に芍薬の花が満開になるとても綺麗。






2015年10月29日木曜日

大芦倉谷


















大畠谷の対岸にある大芦倉谷は地形図でゴルジュマークが続きそそられる。デイサイト~流紋岩の地質で岩は硬い。高低差が少ない下部はゴルジュ地形に小気味良く小滝が続く。どれも無理なく適度な難易度で楽しめる。中盤は少し難しめの滝も出て渋い。森は美しく、魚影は濃い。やや緊張する詰めをこなすと五箇山の名山、人形山の山頂へ飛び出す。

富山県でニクイロシブキツボという蝸牛を探している。妙に官能的な名前に男のロマンを覚える。石川県と新潟県で発見されているの何故か富山県では見つかっていない。レッドデータブックにも記載される希少種で沢の源流の飛沫が当る滝に生息するそうだ。そのため富山県の沢では積極的に流水突破を試みている。が、まだ見つかっていない。


<アプローチ>
一泊二日では人形山登山道下山になるだろう。環境には悪いが車2台になる。二泊三日の日程ならば、小芦倉谷を下降するのも興味深い。

国道156号は九十九折で時間が掛かる。値は張るが五箇山ICまで高速利用がお勧め。人形山登山道までの道はダートもあり車高の低い車は注意。大芦倉谷へは民家の横の道を抜けて広場駐車。少し林道を歩く。

<装備>
カム少々。ピトン少々。下部は岩も硬くカムが良く効く。

<快適登攀可能季節>
9月上旬~10月中旬。紅葉の時期に行きたい。梅雨明け直後だと残雪があるし、真夏ではオロロに発狂する。

<温泉>
くろば温泉

<グルメ>
高千代という猟師の店が有る。熊、猪、鹿は当然。なんとハクビシンも味わえる。
春には山菜、秋にはきのこと折々の味を楽しめる。お勧め。

<博物館>
世界遺産の五箇山集落に古民家があり歴史を学べる。平家の落ち武者によって拓村された。
囚人を幽閉する場所でもあった。古い流刑小屋もあるので立ち寄ろう。江戸時代には、加賀藩の火薬庫で塩硝を製造していた。ブナオ峠から火薬を運搬していたのだろうか。そんな思いを馳せながら山を楽しもう。





穴毛谷 二ノ沢 中央ルンゼ右岸壁(奥壁左峰)














笠ヶ岳周辺の岩の特徴として低標高帯では溶岩質で安定した岩(錫杖はこれ)。標高を上げると溶結凝灰岩と溶岩が交互に現れはじめる。そして稜線から山頂ではスレート状に割れる凝灰岩となる。二ノ沢中央ルンゼ右岸壁もこの例に漏れない。溶結凝灰岩地帯では岩の状態に注意しよう。このとき登ったラインは中央ルンゼをへつるような形になり美しくは無かった。しかしながら、5.8程度のフィンガークラックを登ったり、ボロい岩とブッシュと戯れたりと内容は良かった。

<アプローチ>
積雪期の穴毛谷に入るには雪の状態を読みきって入る必要がある。夜中に入谷し、夜が明けると周囲のきのこ雪時限爆弾が発射寸前で青ざめる。剱岳の西面よりアプローチは格段に近いが東面ならではの怖さがある。登攀終了後はクリヤの頭からクリヤ谷へ降りると良い

新穂高まで富山大学からおよそ1時間50分。

<装備>
ひん曲がったアックスと縦爪のアイゼンが有効。岩のギア一式とアイススクリュー3本くらい。もちろんラインによる

<快適登攀可能季節>
2月下旬~3月下旬。なにより穴毛谷に入ることが可能なコンディションのとき

<温泉>
新穂高温泉なのでどこでも入ることが出来る。価格帯は高い。

栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。



穴毛谷 第一尾根側壁 上流側

















笠ヶ岳には6500万年前(白亜紀)の火山岩体が現在まで残っている。その岩体は溶結凝灰岩と溶岩が1000mを超える厚さで重なっていて、ケイ酸塩が豊富なため笠ヶ岳流紋岩と呼ばれている。ここまで厚く古い火山堆積物が残っていることは珍しい。それは火山堆積物が垂直方向に1000mも陥没する現象が数回起こったことによる。この火山性陥没構造をコールドロンと読んでいる。マグマが大きく噴出したのち、その空隙部が陥没して形成される地形だ。そんな地球の歴史的背景があってこの穴毛谷で僕らは遊んでいる。

高差150m程だが幅広で見栄えも良く立派な壁。取り付く時期は悩ましい。標高的に錫杖岳前衛壁とほぼ同じで2000m以下。それゆえ穴毛谷に入れる雪の状態の時は壁のコンディションが快適とはいいがたい。それでも緊張感の有る場所でするクライミングは痺れるはずだ。筆者が登ったのは最奥の短いラインのみ。まだまだ開拓の余地は有る。富山岳人は地の利を生かして積極的にチャレンジしたい。

<アプローチ>
積雪期の穴毛谷に入るには雪の状態を読みきって入る必要がある。夜中に入谷し、夜が明けると周囲のきのこ雪時限爆弾が発射寸前で青ざめる。剱岳の西面よりアプローチは格段に近いが東面ならではの怖さがある。登攀終了後は一尾根を登りヒロサコ尾根の途中から新穂高へ降りると良いと思う。

新穂高まで富山大学からおよそ1時間50分。

<装備>
ひん曲がったアックスと縦爪のアイゼンが有効。岩のギア一式とアイススクリュー4本くらい。もちろんラインによる

<快適登攀可能季節>
2月下旬~3月中旬。なにより穴毛谷に入ることが可能なコンディションのとき

<温泉>
新穂高温泉なのでどこでも入ることが出来る。価格帯は高い。

栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。



錫杖岳 2ルンゼダイレクト






ルンゼ登攀の醍醐味が詰まった極上のルート。上部に雪田が無いので少々の悪天でも取りき易いと思う。氷の発達の良し悪しによって難易度は大きく変わる。ミックスのパートは出だしはクラックで支点が取れる。その後浅打ちのボルトにタイオフでフェースを登り、右の氷に移る。あとは立派な氷を登って終了。

<アプローチ>
槍見から登山道。左方カンテとP4周辺は吹雪いていても登攀可能。悪天候の時に利用すると良い。
槍見まで富山大学からおよそ1時間50分。

<装備>
ひん曲がったアックスと縦爪のアイゼンが有効。岩のギア一式とアイススクリュー8本くらい。ピトンは使わないと思う。場合によってはアイスフックも使えるかも。

<快適登攀可能季節>
1月~2月下旬。氷の発達次第。

<温泉>
栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。





2015年10月28日水曜日

錫杖岳 北尾根第二岩稜












北尾根の第一岩稜は短いし、第三岩稜は尾根に出ると右側が緩いのでちょっと緊張感が無い。その点、第二岩稜は末端壁もグイグイ登れる上、その後は高度感のある長く気持ちの良い雪稜が続く。稜線手前のジャンダルムは弱点が無く登るには気合が相当いりそうだ。容易に巻けるので稜線へはすんなり上がれる。

<アプローチ>
槍見から登山道。クリヤの岩屋からさらに北に向う。手前から第一岩稜、第二岩稜、第三岩稜である。末端壁は適当な場所から登ろう。我々は右側から取り付いた。山頂を踏んで大木場ノ辻経由で槍見に下山すると充実する。
槍見まで富山大学からおよそ1時間50分。

<装備>
ひん曲がったアックスと縦爪のアイゼンが有効。岩のギア一式。時期によるけどアイススクリューは一応1本くらいいるかな。

<快適登攀可能季節>
12下旬月~3月中旬。

<温泉>
栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。

錫杖岳北尾根第三岩稜












前衛壁や北東壁は登ってしまえば懸垂下降で直ぐに取り付まで戻れてしまう環境だ。錫杖は富山岳人には近いアプローチも相まって、クライミングジム感覚になってしまう。北尾根周辺はクライミングも山登りも満喫できる良い場所だ。荷物を背負って遠い尾根の末端壁を登り、雪稜をラッセルして山頂を登る心地よさといったら無いのだ。是非富山の山ヤには八ヶ岳なんて行かずに、錫杖でクライミングと雪稜の両方を登り込んでほしい。西尾地沢周辺に反吐が出そうな雪尾根もあるので雪の多いときに登ってみたいものだ。

<アプローチ>
槍見から登山道。クリヤの岩屋からさらに北に向う。手前から第一岩稜、第二岩稜、第三岩稜である。末端は壁になっているので登ろう。尾根に出ると右側は傾斜が緩いので歩いてエスケープできる。山頂を踏んで大木場ノ辻経由で槍見に下山すると充実する。
槍見まで富山大学からおよそ1時間50分。

<装備>
ひん曲がったアックスと縦爪のアイゼンが有効。岩のギア一式とアイススクリュー2本くらい。

<快適登攀可能季節>
12下旬月~3月中旬。

<温泉>
栃尾の荒神の湯は良い露天風呂。体を洗う場合は石鹸を持っていこう。寒くて洗えないかもしれないけど。割石温泉まで行くのもいいだろう。